皆さんこんにちは森本です。いよいよ12月に入りましたね。昨年の函館の大雪はニュースでも大きく取り上げられましたが、今年はどうなることでしょうか。
さてさて11月の初め、私は函館の観光名所、函館山に行ってまいりました。皆さん函館山と聞いて何を思い浮かべますか?多くの方はまずは夜景を連想するかと思われます。函館山から夜の函館を一望しに来る観光客も数知れずです。
しかし、私が訪れたのは夜景を見るには早すぎる、日の高い10時から14時にかけて!
では、函館山の草花を見に来たのか?それもありますね。野鳥を見に来たのか?それもあります。ですが、本命は違うんです。今回のお目当てはこちら、函館要塞!!
函館要塞に行ってきました!!
函館要塞とは?
函館要塞は日清戦争終結後、来るべき日露戦争に備えて建設されたそうです。日本の要塞の多くは軍港を守るために建設されましたが、函館要塞は要塞としては数少ない商業港を守るために建設されたものなんだそうです。当時、函館港は北海道と本州を繋ぐ唯一の港でした。そこをロシアに制圧されては敵いません。こうして函館港の防衛のために要塞が誕生したんだそうです。
しかしロシアの艦隊は函館要塞をかいくぐり、津軽海峡を突破した事があります。函館要塞は函館港を守るための要塞。津軽海峡を防衛できるだけの射程距離をもつ砲台は設置されていませんでした。これを機に函館要塞は津軽要塞として転換されていくことになります。
函館山ふれあいセンターさん
函館要塞を見に行こうと思ったものの、インドア派の私は函館山の散策に少々不安がありました。そこでネットの海を漂った末に見つけたのがこちら。函館山ふれあいセンターさんです。なんとボランティアガイドさん(要予約)がいらっしゃるとのこと。パンフレットもこちらでいただきました。
いざ!函館山!
ここまで長くなってしまいましたが、やってきました11月3日。天気は快晴と絶好の散策日和です。朝10時に函館山ふれあいセンターの前で迎えてくださったのはガイドの山口さんでした!電話で「要塞を見学したい」というざっくりとした要望からコースまで考えていただきありがたい限りです。
コースは黄色の旧登山道コースの麓から登り、赤の千畳敷コースを歩き、黄緑の入江山コースを歩いた後戻ってくるというものでした。
早速、函館山ふれあいセンターを後にします。
旧登山道コース
さて、歩き始めて最初に見えてきたのはこちらの大きな物体。こちら、貯水槽なんです。函館山には川がないため、当時は水は死活問題だったのだそう。あの手この手で水を確保していたんだとか。
こちらは石張り水路です。画像ではわかりずらいですが、底が石でできており、これも少ない水を集めるための工夫の1つだったそうです。
こちらは杉の木です。函館山には元々杉の木は生えていなかったのだそう。しかし、造船などにより本来生えていた木を伐採し、禿山になったことがあったんだとか。それを見かねた幕府から、「木を切るなら植えなさい」というお達しが。そうして植林されたのが杉の木なんだそうです。およそ200年前の杉の木は今も健在です。
じゃーん!!
こちら何だと思いますか?少し黒っぽいのわかりますかね。実はこれ、御殿山溶岩と呼ばれる溶岩なんです。函館山は元々は島だったんだとか。それが海流により土砂が運ばれて島と北海道側の陸地の間にたまって、陸繋島になったそうです。これ皆さん知っているんですかね。私が函館歴1年目だから知らないだけなんでしょうか?
千畳敷コース
さてさていよいよです。いよいよなんです。待ちに待ったThe要塞!
おおおおっ!
おおおおおおおおおおっ!!!
つっ着きました千畳敷砲台跡!なんかもうここだけ空気が違う!実際に見た時は本当に「おおお……」しか言えなかったです。ここには28㎝榴弾砲なる砲台が2門設置されていたそう。ちなみに砲台は1台2台ではなく、1門2門と数えるらしいです。本来なら28㎝榴弾砲の跡は合計3ヶ所あるのですが、現在こちら以外は伸び切った草や劣化により行けなくなってしまっています。
レンガの色味やひび割れから時間の流れを感じますね。壁にある四角い穴は次弾玉置き場です。弾の外側を保管しておく場所です。打つ方向としては函館湾の方向みたいです。
さらにさらに、奥には階段が!秘密基地のような雰囲気にときめきが止まりません!
細い道を抜けるとそこは……
絶景かな絶景かな!そこから見る景色の素晴らしいこと!実はこちら千畳敷観測所と呼ばれるところなんです!
観測所からは辺りが一望でき、敵の襲来をいち早く確認することができます!つまりこちらで敵を発見した後、方角を先程の砲台にいる軍人に連絡して弾を発射するという戦法ですね。
見にくいかもしれませんが千畳敷観測所は円形で、当時はこの上に硬い屋根があったそうです。
さてさて千畳敷コースはまだまだ続きますよ!
続いてはこちらです!先程の砲台跡に似ていますが少し違いますね。こちらは15cm臼砲(きゅうほう)の砲座跡です。15㎝なので先程の次弾玉置き場よりも低いんですね!
敵の艦船から見つからないために砲台は海が見えないように設置されていました。
さてさてまたもや奥に階段が見えますね。いやもうこんなん童心に帰るしかないじゃないですか!
…………ナンデスカこれは。
え、え、なにこの風格漂う建造物。ここ函館山ですよ???もはや遺跡じゃないですか。
こちら、私が函館要塞で一番お目にかかりたかった物件です。語彙力放棄してやばいやばいと連呼したいところですがこらえてご説明させていただきます。
ここは千畳敷戦闘指令所跡です。繰り返します戦・闘・指・令・所・跡です。もう名前の響きが凄い。手前に見えます円形の空間にある円形の台座。こちらには測遠機が鎮座しておられたんだそう。
そしてガイドの山口さん中へ入って行きます。え、いいの?入っていいのですか??入っちゃいますよ???
たぶんこの時、顔がすごくにやけてます。
レンガ、コンクリート、石の順番で重ねられていますね。
入って左に曲がると細い道が。右手にはいくつかの小部屋がありますね。左手には窓らしきものが。早速、覗いてみました。
不思議な空間ですね。
実はここ、電話室だったんです。当時の電話は同じ電話にしか繋がりません。なので、外の測遠機で敵を確認し、窓から敵の位置を電話室に伝え、電話室から砲台に伝えるという指示系統だったんですね!想像するだけで胸にくるものがあります。
そしてこの場所半地下になっているので通気口があります。じめじめとした薄暗い空間に差し込む一筋の光。私のストライクゾーンど真ん中をえぐってくれました。ありがとうございます。
そして壁のレンガに注目してもらいたいのですが、一段ごとにレンガの向きが交互になっているのがわかるでしょうか。これはイギリス積みと呼ばれる積み方で強度が高いんだそうです。
さてさて千畳敷戦闘指令所跡を一通り見て歩き、私は後ろ髪を引かれながらもここを後にしました。
入江山コース、再び千畳敷コース
お昼休みを挟みまして、続いて訪れたのは入江山コースです。
こちら八八式海岸射撃具砲座跡です。こちらの砲台は練習用として使われていました。
ちなみに函館要塞、実弾は一度も打たれていないんです。要塞の建設には80万円の費用がかけられました。現在の貨幣価値に換算すると約80億円とも言われています。使うことがなくてよかったのですが、建設費を考えるともったいないような気もしますね。でも、ここに要塞があったからこそ他国の艦隊は攻めあぐねていたのかもしれません。存在するだけで十分な抑止力であったとも考えられます。
こちら入江山観測所です。やはり観測所はどこも見晴らしがよいですね。駒ヶ岳が綺麗に見えます!
こちら御殿山第二砲台跡です。函館要塞の中でも特に綺麗に残っていますね!
こちらは伝声管です。これまでの砲台跡の壁面にもちらほらと丸い穴が開いていたことにお気づきでしょうか。当時、この穴を通じてとなりの砲台と連絡を取っていたんだそうです。
山口さんとの伝声管を通して会話もしました!
そして下山……
10時に函館山に入り、気づけば13時過ぎ。3時間以上歩いたところでロープウェイのあるつつじ山駐車場に到着しました。後は下山するのみです。私は目当ての函館要塞を一通り見終えることができ大満足です。道中、要塞以外にも様々な野鳥や草花を見つけたりと函館山を満喫できました。
要塞から函館の歴史について山口さんの話を通して数多く知れました。古い建築物は時の流れを感じさせてくれますが、当然時間と共に劣化していきます。実際に要塞の一部は崩れていたり、草木に閉ざされて行けなくなっていたりしてしました。形ある歴史として長くその姿を保持してほしいです。
ガイドをしてくだった山口さん、貴重な体験をさせていただき本当にありがとうございました。
以上、私の函館要塞メモリーでした。