【函館学2016】第3回「函館のシビックプライドをデザインする」

未来

2016/10/05

9月24日(土) 公立はこだて未来大学講堂にて、第3回合同公開講座「函館学」が開講されました!

「函館学」とは、地元”函館”をキーワードに、函館の大学や短大、高専の知的資源を公開している講座です。定期的に開催されていて、地域の方や他校の方に学校を身近に感じていただく機会にもなっています。

参加方法や、詳しい講義の内容はこちらです。https://www.cc-hakodate.jp/hakogaku

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函館学2016 ~新幹線時代を迎えて~ 第3回講座は、公立はこだて未来大学の木村健一先生が「函館のシビックプライドをデザインする」というテーマで講演を行われました。

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木村健一先生は、未来大の情報デザインコースの教授です。

函館の様々な場所のグラフィックデザイン(平面の上に表示される文字や画像、配色などを使用し、情報やメッセージを伝達する手段として制作されたデザイン)やシンボルマークに携わっています。

1年生の時、木村先生の担当の「芸術論」という芸術の歴史やスケッチの描き方に関する講義を受けたことがあります。受講生のスケッチについて公表される時間では、1枚1枚丁寧に講評なさっていて、とてもためになるアドバイスを聞くことができました。自分のスケッチが公表されたときはかなり緊張しましたが……笑。

「シビックプライドをデザインする」とは、シビックプライド(都市に対する誇りや愛着)を視覚言語(シンボルマークやロゴタイプ・ロゴマーク)を用いて目に見える形に表現することだそうです。

今回の講座では、市電・ロープウェイ・五稜郭・はこだてアリーナたちを対象としたプロジェクトを通して取り組んできた実践的なデザインの教育と研究が、地元にある資源をいかに活かし、新しい価値につながっていくのか、ということについてお話ししていただきました。

 

前半は、シンボルマークについてのお話でした。

シンボルマークとは、家系、会社、団体、個人などを象徴する意匠、マークのことを指します。シンボルマークは、多くの情報が詰まっている視覚言語であり、多くの人に強い印象を与えることができるもので、多くの展開がされてもイメージの「ぶれ」が生じないように全体をデザインする必要があるそうです。

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木村先生は、武蔵野美術大学教授・デザイン評論家 柏木博さんの「デザインは空虚な思いつきではない」という言葉を紹介されていました。
文学や美術と同様に、いかに多くの先行事例や研究を知るのかが重要で、そこからどのように自信の文脈に取り込み、独自の表現にしていくかが重要な課題になるそうです。
私たちが日ごろ目にするシンボルマークたちは、何人もの人の心に刻み込まれるように、たくさんのことを考えて作られたものなのだと感じました。

 

後半は、函館山ロープウェイ、函館市路面電車、はこだてアリーナ3つのデザインについてのお話でした。

函館山ロープウェイのお話では、ゴンドラのデザインやシンボルマークについて触れていました。シンボルマークは、函館山の変化に富む美しい自然環境と都市景観を結ぶ索道を象徴してデザインされたものだそうです。まだ商標登録申請中なのだそうですが、申請される日が待ち遠しいです。

 

函館市電のデザインは、「古くて新しい」、「造船技術と建築技術」をキーワードにして考案されたものだそうです。百周年の記念ロゴに使われている「百」の文字は小学生の描いた文字がもとになっていて、まさに電車のような形だということで採用されたそうです。より良いデザインのためには、様々なところからインスピレーションを得られる柔軟な思考が大事なのだなと感じました。

五稜郭公園前電停などの屋根は波をイメージして作られているそうです。電停にも海の要素が取り入れられているのは新鮮に感じました。

 

はこだてアリーナには、松前町出身の文化勲章受章者 金子鷗亭さんの書道作品をモチーフとしたパブリックアートがあります。それには建設地にあった公園の木が使用されています。本来捨てられるはずであった木を使うことによって、地域に根付いたアートを作ることができるのだと感動しました。

 

函館の名所にあふれている、たくさんの素敵なデザインに込められていた思いについてたくさん知ることができました!

 

次回の第4回講義は

日時:10月15日 13:30~
場所:北海道教育大学函館校 講義室
「多様性を活かした地域づくりを考える」
講師:北海道教育大学函館校 准教授 古地順一郎 ほか

となります。

当日、会場で申し込みすることもできます。
函館について、普段は知れないことにたくさん触れることのできる機会です。是非、参加してみてください。

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